頻尿対策は自立に向けた排泄アセスメント

こんにちわ。頻尿対策ずぼんの中にこっそりトイレの「Mr.ユリナー」です(笑

頻尿対策の集尿器

「Mr.ユリナー」の研究開発をしながら、実際に排泄トラブルに悩んでいるお客様に直接ヒアリングさせていただいたり、排泄に関する知識習得のセミナーや勉強会に参加させていただいたりすると

ほんとうの排泄ケアって何だろう?

排泄自立に向けた適切な提案ができているのだろうか?

と日々考えさせられます。う~ん・・・。排泄に関する知識は奥が深くても根本的に重要なことは忘れないように、これからも頻尿対策や尿漏れ対策に悩むMr.ユリナーの利用者様と一緒に成長していきたいと感じます。ということで、今日のお題は自立排泄のアセスメントと排泄ケアについて!です。

自立排泄のアセスメントとケアを考える

排泄の自立を目指すためには、

「排泄機能」「運動機能」「認知機能」の3つに着目してどこが阻害されているのか

を見極めたうえで、排泄ケアを提供する必要があります「排泄のアセスメント」。

 

そこで排泄ケア・排泄支援のポイントを考えてみました。

 

排泄ケアプランの目標の中で、トイレでの排泄自立ができている状態を維持したり、一部介助の状態を目指すことはよくあること。でも排泄の自立を目指すというのは、本来とても難しいものなのです。なぜかというと、排泄を問題なく行うためには様々な過程があって、場面ごとに異なる機能が求められるからではないでしょうか。

 排泄において必要となる主な機能が「排泄機能」「運動機能」「認知機能」の3つ。裏を返すとこれらの機能を正しく評価して問題を切り分けることで、排泄の自立を目指すことが可能となるのです。「自立して排泄ができなかった」という結果のみに限って焦点を当てることなく、安易に「おむつ」「尿とりパッド」を使う選択肢を選ばなくて済むようになります。

頻尿とトイレの対策

排泄動作の流れと求められる3つの機能とは?

排泄の行動は、いくつかの動作が連続してスムーズに行えることで成立しています。
具体的には以下のとおりとなります。

「排泄動作の流れ」

  • 1・尿意・便意の知覚
  • 2.排泄場所の認知(トイレの場所の想起など)
  • 3.トイレへ移動の開始
  • 4.トイレの認知
  • 5.トイレの使用方法の認知
  • 6.衣服の脱着
  • 7.排泄・排尿
  • 8.陰部の清拭
  • 9.トイレの後始末
  • 10.手を洗う

 

これらの手順の中で、ひとつずつ考えていこう。まず「排泄機能」に関係しているのは、「尿意・便意の知覚」と「排泄」。具体的には尿をためる・出すを制御する機能のこと。膀胱や腸にしっかりためて、必要なときに出すことができるかどうかにかかわります。

 もう少し細かく紐解くと、排泄機能には「膀胱や尿道、肛門の機能」に由来するものと、「神経伝達機能」に由来するものの2つがあります。前者は身体的な部分、後者は知覚に関する部分です。尿をためることはできても、尿意がなく排泄がうまくいかないのは、神経伝達機能が障害されていることが少なくありません。下部尿路経路は自立神経の支配を受けているためで、この調整機能が障害されると、変調をきたすのです。

 続いては「運動機能」。これには、立ち上がり、トイレへ移動できるのか、便座で座位がとれるのかといった動作が含まれます。一言でトイレに行くといっても、様々な運動機能が求められることが分かります。

 「認知機能」は、実はほぼすべてがあてはまるのです。家の中のどこにトイレがあって、どの道のりで行くのか、便座に座って排尿するといった一連の流れを思い浮かべれるかが問われます。認知症の方の排泄ケアの難しさはここにあります。

 このように3つの機能によって、排泄は行われています。利用者さまや、ご家族がどんなに頑張っても、頑張りどころを間違えると多大な苦労を強いるだけ。専門職がいかに低下している機能を評価して、介護の力で排泄ケアにつなげられるかが重要になるのです。

トイレが近い対策頻尿対策の集尿器

↑ズボンの中にこっそりトイレ Mr.ユリナー/ミスターユリナー

排泄機能別のアプローチを考えてみよう

アプローチ1「認知機能」 ~環境の調整と用具の工夫を~

 排泄機能・運動機能・認知機能のうち、排泄ケアの力を最も発揮できるのが認知機能への対応。具体的には環境や排泄用具の調整が中心で、これらの多くは認知症の人にも有効と考えます。便座はわかっていてもトイレの場所がわからないという人に対し、電気をつけっぱなしにする、便座が見えるようにドアをカーテンに変えるといった環境の調整を行うことで排泄までの動作がスムーズにいくこともあります。ドアノブの回しかたが分からない方に対しては、引き戸にすることでトイレが間にあうようになったケースもあります。

 またこれは老健を訪問したときの経験ですが、場所も便座も認識できないが、いつも廊下の突きあたりで立って排尿する入所者がいらっしゃいました。ご家族に聞いてみると、自宅のトイレも廊下の突あたりにあたっというのではないか。本人にとっては、排尿をする場所が間違っていたわけではありません。スタッフとも相談しながら「ご本人様ができていることを尊重しよう」ということになって、壁に大型の平型「尿とりパッド」を張りつけて、パーテーションで区切って即席のトイレにした経験もありましたよ。在宅ではここまでするかは別の話としても、起きている事象が誰にとっての問題なのかを整理することが大切だと感じております。

アプローチ2「運動機能」 ~介護ヘルパーさんと連携して成功体験を積み上げる~

 排泄にかかわる運動機能に対するケアは、歩行訓練や座位保持などのリハビリが中心となります。回復期のリハ病院では、理学療法士さんや作業療法士さんが患者のトイレに付き添って、一連の動作を確認した上で評価を行っていきます。ここで欠かせないのが、何のためにどんな介助を行うか。病棟の看護師やケアワーカーさんと共有することが大切です。

 これは在宅の現場においても同じこと。在宅ではリハ職が潤沢にいるわけではないのですが、排泄ケアで困ったら是非、連携をとってアドバイスをもらうことをお薦めいたします。おそらく在宅では「運動機能」と「認知機能」の排泄アセスメントは、身近な家族やヘルパーさんからの情報収集が基本となるはずです。「本人はトイレに行きたいと思うのか」「トイレに座らせてみたことはあるのか」などと積極的に質問をしていってみましょう。往々にして「トイレに行こうと本人が言わない(アピールしない)ので、おむつと尿とりパッドを使っている」という答えが返ってくることすらあるのです。在宅においても、ぜひ一度トイレの一連の動作を確認する機会を設けるべきだと思います。

アプローチ3「排泄機能」 ~まずは排尿・排便日誌を作ろう~

排泄機能にたいするケアは、ますますチームの連携が必要となります。回復期リハでは、排尿日誌や残尿測定でアセスメントを行って、排尿の回数や排尿量などを確認しています。

 在宅では、例えば「おむつ」が濡れていないかを1時間ごとにチェックして、濡れていたら「おむつ」の重さを測ってみましょう。便と尿で困っていたら、まずは便から取り組んでみてください。便がきちんと出せない人は、排尿にも問題があることが多くて、家族に負担がかかるのも排便だからです。服薬によって人為的に下痢便になっている場合もあります。医師に相談しにくい場合は、看護師さんを通して依頼してみるのも手です。問題が分かるだけでも対応の幅が広がることもあります。

 本人に協力が得られることが前提になりますが、器具を使って尿をためる機能を代替したり、訓練で機能を取り戻せたりすることもあります。一例としては、「溢流性尿失禁」など、ためることができても尿を出すことができない人に、本人が自己導尿の手技を身につけられるように、ケアマネージャーと訪問看護師、ヘルパーが連携してその調整をしたりすることも大切です。

 「切迫性尿失禁」といった自分の意思に関係なく膀胱が縮み、尿をためられないという方には、尿意をできるだけ我慢してもらう膀胱訓練もあります。訓練では尿意を感じてから30秒多く我慢するなどと尿を我慢するトレーニングに取り組んでいただきます。その膀胱トレーニングに取り組むうちに、膀胱の収縮が収まって、少しずつ尿を我慢することができ、膀胱の容量も増えていきます。尿を100mlしか我慢できなかった方が、正常な範囲の200mlまで尿をためられるようになることも、まれでは無く、比較的効果が出やすい訓練なのです。

尿器

排泄トラブルの問題を切り分けてみよう ~排泄のアセスメント~

 排尿トラブルに関するそれぞれの機能の特徴を押さえることができたら、次は排泄の問題を切り分けることにチャレンジしてみること。排泄機能と運動機能、認知機能や尿意のあり・尿意のなしなどを複合的に分析していきます。そうすることで歩行や座位、着脱衣の状態とあわせて、食事、運動、排泄と生活にかかわる部分をみていくことで、排泄自立の可能性がうまれてきます。

 例えば、尿をためる機能も尿を出す機能も正常で、尿意もない人の場合、運動機能や認知機能が部分的に障害されていても、一部介助でトイレで排泄できる可能性がじゅうぶんにあります。尿がたまった頃を見計らって、トイレに誘導すればよいのです。排尿日誌でデータを取れば、タイミングがわかります。3~4時間は普通に生活していられるのであれば、家族もそれほど大変な思いをしないで済むことでしょう。ヘルパーや看護師さんがいればなおさら安心です。

 運動機能や認知機能が自立、もしくは部分的に正常な場合でも、膀胱の機能が低下して少ししかためられない場合は、頻回なトイレへの誘導は本人やご家族への負担にも直結します。パンツタイプの「紙おむつ」や「尿取りパッド」を活用することもひとつの選択肢です。

 こうやって、排泄にかかわる問題を切り分けていくことが排泄のアセスメントで排泄ケアにはもっとも重要なことなのです。

外出先のトイレ対策

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2018年11月25日